林浩美

羽音

林浩美
Hayashi Hiromi

コメント

10年間沢山の事がありました。原発事故の後、私の実家は取り壊され、家族は故郷へ戻っていません。事故直後から変わったと思うのは、防護服もマスクも身につけず普通に町を歩けるようになったことです。富岡町は復興が進み、帰り住む人も増え、年々様変わりしています。ただ、帰ること、戻ることの難しさも感じています。もとには戻れないもどかしさを感じながら、長年この節目の年に何を描くべきか迷っていました。しかし何を描いても嘘の様に感じて、素直に希望や光などの明るいものは上手く描けませんでした。今は、楽観的でも悲観的でもなく光だけを受け止めて、そこにあるはずだった時間、過ごせるはずだった場所を思いながら描きました。気持ちの変化を前向きに捉えれば、これまでの10年は立ち止まり過去を憂う時であったとすれば、これからの10年は、未来を創り、描いていける筈だと思っています。

自己紹介

1991年福島県富岡町生まれ
2009年福島県立いわき総合高校卒業
2009年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻入学
2013年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2013年東京芸術大学大学院美術研究科油画技法材料研究室入学
2015年東京芸術大学大学院美術研究科油画技法材料研究室卒業
2015年東京芸術大学大学院美術研究科油画博士後期課程入学
2021年東京芸術大学大学院美術研究科油画博士後期課程卒業